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【投稿時の一言】
祭り初参加の駿河桔梗です。
これは『invader』の続編で、『invader』を投稿してから直ぐ書き始めた物です。
今回もトニセンに登場してもらいました。以前は、坂本くんだったので、今回は長野くんとイノッチに登場してもらいました。トニセンのメンバーがどうやって話すのかが難しく悪戦苦闘しました。
一体、太一くんと警察の間に何があったのか?そして、トニセンのメンバーは何者なのか?……は良く分かりません!!(ヲイ!!)まだ、ちゃんとした設定をしていないのです。
スイマセン。(汗)
こんな駿河の作品ですが、少しでも楽しんで下されば嬉しいです。宜しくお願いします。
【駿河桔梗から一言】
この設定はざっくりなのですが(それはいつものコトだッ!!/怒)、何故か最後はこうなれば良いなぁ…なんて他人の様に思っている作品です。その最後にいくまでの内容は何にもないんですけどネ!!(爆)でも、『invader』の時にも書いたのですが、いつか書けたら続きを書きたいなぁ…と思ってはいます…。(大汗)
(11/03/24投稿・12/07/18UP)
≪adversary - contact.0 -≫
盗みをしたあの日以来、ヤマグチくんの様子がおかしい。
特に表に出ている訳じゃないんだけど、雰囲気がそう語っている。
俺だけじゃなくて、それはマツオカもナガセも気付いている。
このままじゃ、今後にも支障を来しそうだから…。
「ヤマグチくん、ちょっと良い?」
「ん?タイチ?どうした??」
「うん…ちょっとね」
「…?」
「あのさ…あの後、何かあった?」
「??」
「バラバラに逃げたじゃん。あの後からヤマグチくん、様子が何か変だから」
「そうか?」
ヤマグチくん自体、気付いていない…?
「うん」
ヤマグチくんは何か考えている様だけど、本当に気付いていない?それとも、俺達の気のせい?
「タイチ。街外れに洋館があるだろ?」
「…えっ?あぁ、うん」
「俺さ、あそこの住人にバレた」
「はっ?…えっ?…えぇ~~~~~ッ?!ヤ…ヤマグチくん、それヤバいじゃん!!」
「そうだよな~」
そう言って、ヤマグチくんは経緯を話してくれた。
屋根から落ちて、住人に顔を見られた事。
住人は部屋に招き、ヤマグチくんの手当をした事。
…何も問い質されなかった事。
「…それだけ?」
「あぁ」
「だって、あそこは…」
どういう事だ?確かあそこの住人は…いや、確かそれ以外に仕えているのがいるよな…そいつ等か?でも、ヤマグチくんに何も聞かないのはおかしいだろ…ヤマグチくんって気付かなかった?いや…
「タイチ?どうかしたか?」
もし、俺の情報が間違っていないのなら、顔を知らないっていうのは可能性が低いよな…何を考えているんだ?それとも、俺の情報が間違っている?
「ヤマグチくん。その住人ってどんな感じだった?」
「…俺よりは年上で身長は俺より少し高かったけど、細かったな。後、ずっと笑っていた」
「…」
「“シゲル”…そう。そう呼ばれていたな」
「!…そう…」
「タイチ?何か知っているのか?」
「いや…ヤマグチくんが気になるなら調べるよ」
「…いや、良いよ」
「そっ。だったら良いんだけどさ」
「あぁ。悪かったな」
「ううん、良いよ。只、マツオカとナガセは如何にかしておいてよね。あの二人、何も言ってないけど、心配しているから」
「分かったよ」
俺は、ヤマグチくんの部屋から出て行った。
ヤマグチくんから聞いた住人…間違いない。
≪adversary - contact.1 -≫
その日の深夜、俺は街外れの洋館に来てみた。
(さて…どうしようかな)
そう思いつつ、とりあえず“ココの住人”を捜し出さないとな…。
俺は窓をそっと開けてみた。
鍵が掛かっていると思っていたけど、窓は簡単に開いた。
「…不用心だな」
でも、俺にとっては好都合。侵入する事は出来た。
周囲を見回し、俺は歩こうとした。
「今日は、お客さんが来るとは聞いとらんかったけどなぁ」
「!!」
そう背後から声を掛けられた。
気配なんて感じなかった。
俺は振り向き、声を掛けてきた人物を見た。
そこには細身の男がいた。
年齢は俺より年上で身長も俺より少し高い。後、この雰囲気に似合わない笑顔…。
「どこのどなたさんですか?」
「…あんたが知らない訳ないだろ?」
「?えっと、自分と会った事あったっけ?そしたら、すまんなぁ」
この男は、何故か謝り、思い出そうと考える様に見えた。
俺はその態度にムカつき、イラッとした。
「あんたにこの間、ココで手当してもらった人の仲間だって言えば良いのかよ」
「……。あぁ、あの時の!自分、友達なんか!態々、お礼を言いに来てくれたん?そんな大した事してへんで」
(何だ、こいつ!!)
ヘラヘラと笑っている姿がすっげ~ムカつく。
「ふざけんな!!!!友達がこんな深夜に不法侵入するかよ!!!!」
「いや、類友みたいなもんかなって」
「…あんた。俺の事、馬鹿にしてるだろ」
「そんなつもりはあらへんよ」
本当に何なんだ、こいつはッ?!!
「…あんた本当にジョウシマ シゲルかよ」
「自分、僕の事知ってるん?」
「知らないわけないだろ…。ジョウシマ シゲル…23歳という若さで警察幹部に就任したエリート野郎だろ」
「僕、そんな風に言われてるんや。でも、自分の友達は気付いていなかった様やけど?」
「良いんだよ、そういう人だから」
「そうなん?…で、コクブン タイチさんが僕に何か用なんか?」
「やっぱり知ってるんじゃねぇか」
「まぁ、僕の事も知ってるみたいやし」
「…あんた何考えてるんだ?」
「どういう意味や?」
「しらばっくれるな!俺を知っているって事はヤマグチくんの事も知ってたんだろ!何で助ける真似をした?!」
「そんなん、怪我をしていたら手当をするに決まってるやん」
(ふざけんな…)
俺は釵をコイツの首元に向けた。
コイツはそれに動じる事もなく、只、俺を見ていた。
「てめぇらがそんな慈善事業みたいな事する訳ねぇだろ」
そうだ…警察(コイツラ)がそんな事をする訳がない。
するんだったら、何であの時、助けてくれなかったんだ…。
「…ッ!!」
俺の左右に男がいた。一人は俺の首元にナイフを、もう一人はこめかみに銃を突き付けていた。
先のコイツの時もだったけど、全然気配を感じなかった。
俺は目の前にいるコイツを睨んでいたが、嫌な汗が出ていた。
「止めぃ、ヒロ。イノ」
「ですが…」
「止めぃって聞こえんかったか?」
ずっと笑っていたコイツは、それを消していた。
決して、強い口調ではなかったが、怯んでしまいそうな妙な威圧感があった。
俺の左右にいた男達はナイフと銃を下ろし、一歩下がった。
「二人が無礼な事を…失礼しました」
そう言って、俺に謝罪した。
俺は呆気にとられてしまった。
何でコイツが謝るんだ。
何で俺に頭を下げるんだ。…知らない。
俺は困惑と胸のモヤモヤ感が出てきて、コイツから目をそらし、釵を下ろしてしまった。
「…俺は“てめぇら”が嫌いだ。だけど、ヤマグチくんを助けてくれた事は感謝する」
「自分、優しいなぁ」
俺はコイツに目を向けた。コイツは頭を上げていて、また笑っていた。
調子が狂う。
「…何がだよ?」
「だって、自分、そのヤマグチさんの為に態々来たんやろ?自分が下手すれば捕まるかもしれへんのに…優しいやん」
コイツは自分の事の様に笑って、そう言った。
…何なんだよ、コイツ。
全然、掴めない。
俺は何か疲れたし、侵入してきた窓に向かい、出て行こうとした。
「帰るん?気ィ付けてな」
「…俺、あんた嫌い」
侵入者に『気ィ付けてな』って何だよ。意味が分からない。
「僕は自分等の事、結構好きやで」
コイツは笑っていた。
俺は目を背けて、出て行った。
≪adversary - contact.2 -≫
「宜しいのですか、シゲル様?」
「ん?何がや?」
「何が…って、あの者を逃がしてしまって?」
「何言ってるん、ヒロ?あの子は只、お礼を言いに来ただけやで」
「シゲル様…」
「只、それだけや」
「…分かりました」
「えっ?!良いの、ナガノくん!!」
「だって、シゲル様。頑固だもん。言っても無駄だよ」
そうヒロが呆れ顔でイノに言った。
イノはイノで、それで納得した様だった。
「何やねん、ヒロもイノも。何気に失礼やで」
「本当の事でしょう、シゲル様?」
ヒロは笑顔で、僕を見た。そうすると、僕は何も言い返せなくなる。
ヒロは悲しそうな痛そうな顔をしながら、俺の首元を触れた。
「少し切れてしまいましたね」
そう言われて、初めて首元を怪我をしている事に気付いた。
何時、切れたんやろ??
「大丈夫やで」
「駄目×2!シゲル様は他人に対しては敏感なのに自分には無頓着なんだから!!」
「そうですよ。それにそのままにしてサカモトくんに怒られるのは私達なんですから」
今、ココにいない人物を思い浮かべる。
…心配症やからなぁ、マサは。この二人もやけど。
僕はそれが、少しこそばゆくて嬉しくて笑ってしまう。
「分かったって。じゃあ、手当をお願いします」
「「かしこまりました」」
僕とヒロ、そしてイノはお互いの顔を見て、笑った。
でも、一つだけ----。
「ヒロにイノ」
「「はい?」」
僕は二人の手を取り、
「こんなモノを持たないで」
切に願う。
「僕は二人にもマサにももう持って欲しくないねん」
「「…シゲルくん、ごめんね」」
「…分かってるんよ。自分等は僕の為を思ってしてくれた事っていうのは…でも…」
「うん…気を付けるよ」
「でも、シゲルくん。俺達はシゲルくんに何かあった時は“コレ”を持つよ。それだけは分かって」
「……おん」
本当は分かりたくない。
でも、マサもヒロもイノも頑固やから----。
分かりたくないんやけど、分かったフリをしておく。