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スケープゴート -他人の罪を背負う者-
お題は『ペトルーシュカ』様から
【駿河桔梗から一言】
リハビリ①です。
今まで書いていたお題の設定とは違います。
少しずつ書けていければ良いなぁ…と思っています。
※特殊設定です。メンバーの誰かが故人です。
苦手な方は見ない方が良いと思います。
(13/11/16UP)
スケープゴート -他人の罪を背負う者-
1.無垢なる咎人
俺は、いつも同じ時間に同じ場所に向かう。
そこは、此々の地下の奥の奥――――。
太陽は遠いが、薄らと光は入る…そんな場所。
そこには、足枷に手枷をされている犯罪者が存在する。
俺は、その犯罪者の…まぁ、お世話をしているのかな。
軽い感じになってしまっているのは、その犯罪者が……
「あっ!山口くん!!おはようございます!!!!」
……とても犯罪者には見えないからだと思う。
俺はこの犯罪者・長瀬智也の朝食を持って、重い鉄格子を開けた。
「今日のご飯は何ッスか?!」
長瀬の声色と笑顔に反する様に手足には重量感がある枷をしている。
それに凄く違和感がある。
俺は手枷を外すと、長瀬は嬉しそうに朝食を受け取り「いただきますッ!!」と手を合わせ、美味しそうに食べ始めた。
俺は鉄格子の前に椅子を置き、その様子を眺めていた。
つくづく犯罪者に思えない。それも、死刑囚とは…。
「ごちそう様でしたッ!!今日も美味しかったッス!!」
「それは良かったよ」
それから俺は長瀬と話をし、昼になると昼食を。夜近くになると夕食を…と、それを毎日繰り返す。昼だけは俺も一緒にココで食べる。
長瀬智也という人間は、天真爛漫・純粋無垢…そんな感じだ。いつも笑顔で元気だ。
長瀬の笑顔を見ていると、こっちまで笑顔になる。かなりの天然というかおバカというか…そういうのもあって笑顔になる。
日が落ち始めると、ココはすぐに真っ暗になる。そうすると、俺は長瀬の夕食と一緒に持ってきたランプに火を付ける。
これが合図となり、俺の一日の仕事は終わる。
「それじゃあな、長瀬。またな」
「はいっ!!おやすみなさい!!!!」
俺は長瀬に手枷をまた付けて出る。ランプは俺が持って行く。
そうすると、ココには灯りがない。
晴れていて雲もなければ、月の明かりで薄らと明るいが、月が出ていなければ真っ暗だ。
それでも、ランプはココに置いとく事は出来ない…。
それが俺は嫌だったし、もどかしかった…。
長瀬に俺は絶対“またな”と言う様にしている。
長瀬は俺が“またな”と言うと、安心した様な…心底嬉しそうな顔をする。
長瀬には少しでも笑っていて欲しいし、俺も救われている様な気がした。