[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
スクライドの小説です。(TVアニメ「スクライド」)
(02/12/25UP)
「アンタ、俺より厚着してるくせにやっぱ冷てぇな」
抱きしめた感じは痩せた所為か?少し変わった、ただ、熱の低い身体は変わらない。
「離せ・・・・・」
離れようと身じろぐ左手を取り、指先にそっと口付ける。
「離してやるよ、この指が暖まったら」
その指に、冷えた身体に俺の熱が移ったら・・・・・・・・。
早朝、すっかり晴れて太陽の光が雪に乱反射するので、カズマは意識を浮上させた。
完全に目を覚まして、腕の中に残っているのは、ぬくもりと羽織っていた布だけ。
こんな時まで雪みたいな奴。
手に入れたと思ったら直ぐに無くなってしまう。
アイツ人のこと舐めすぎ。ぴったり腕の中に納まってたもんが無くなったら誰だって起きるだろうがと憤慨した。
だから、さっさと出て行こうとしたのを、最初は止めようと思った。
アイツは、ほんの少し迷いながら、自分の羽織ってた布をそっと俺にかけて。
晴れてても雪はまだ解けていないのに、俺から離れたら直ぐに冷たくなっちまうくせに。
まだ暖かいであろう手を掴んで押さえつけてヤろう、そう思った。
欲しいもんは奪う、もう迷わないと決めていた。
「カズマ、 」
・・・・・・・・・・あんな事、アイツが言わなきゃさ、そうしてやれたのに。
あんな声で、耳元であんな事言いやがって。
昨日は、泣くまで焦らしてやっても、言やぁしなかったのに。
素直に首に回された腕、背中に残らなかった傷。
小さく舌打ちしながら、布を引き寄せた、誰知らず笑みがこぼれてしまう。
アイツの性格上、まめに洗われているだろうそれは、それでも持ち主の香りを多少は残していた。
一生敵わないのかもしんないねぇ、アンタには。
end